糖質制限でも飲めるコーヒーチェーン店のビバレッジ
糖質制限をしていると、ショッピングや街歩きの途中でふらりとコーヒーチェーン店に立ち寄っても、どうせいつも決まってブレンドコーヒーとかアメリカンコーヒーしか飲めないからツマラナイ、と思っていませんか?
甘いココアやクリームが上に乗ったフラペチーノは無理だとしても、たまにはミルクがたっぷり入ったコーヒーくらいは飲んでみたい。だけどやっぱり糖質が気になる。なんとなくカフェ・ラッテとかカフェ・オ・レって、糖質高そうだし。と実は僕もずっとそんなふうに思っていたのだ。
でも本当にそうなの? 実際タリーズ・スターバックス・ドトールと、日頃よくお世話になっているチェーン店のビバレッジについて少し調べてみることにした。糖質制限中にはカフェ・オ・レも控えた方がいいのだろうか。ブラックコーヒー以外飲んでもよさそうなドリンクはないのだろうか? その答えは、実は意外なところにあったのです。
- 炭水化物と糖質の違いについて
- カフェ・オ・レとカフェ・ラッテの違いについて
- カフェ・ラッテとカプチーノの違いについて
- コーヒーチェーン各社のドリンク栄養成分情報を見る
- ソイ(豆乳)について調べてわかった二、三の事柄
- まとめ
炭水化物と糖質の違いについて
大手コーヒーチェーンで飲める糖質制限OKのビバレッジを探す前に、いまさらという感じもするが、炭水化物と糖質の違いについてもう一度おさらいをしておこうと思う。
「糖質」とは、「炭水化物」から「食物繊維」を除いたものと定められている。つまり、
糖質=炭水化物-食物繊維
の図式をまずは確認しておきたい。糖質は体内に吸収され、主要なエネルギー源となる栄養素である。砂糖などの糖類や糖アルコール、でんぷんなどがこれに当たる。
なお、糖類と糖質はよく似た言葉で間違いやすいが、糖類は糖質に含まれる。つまり、
糖質>糖類
ということだ。ブドウ糖や果糖などの単糖類、砂糖などの二糖類、エリスリトールやキシリトールなどの糖アルコールが糖類と呼ばれている。
これから紹介するコーヒーチェーン3社の栄養成分情報には、コーヒーなどに含まれる炭水化物の量しか記載がないが、コーヒーや牛乳にはそもそも食物繊維が含まれていないので、ここは「炭水化物=糖質」とほぼ考えて差し支えないだろう。
カフェ・オ・レとカフェ・ラッテの違いについて
冒頭にも書いたように、ココアやフラペチーノが糖質制限OKのはずがないのは先刻承知の上なのだ。そこでドリンクメニューの中から少しでも可能性がありそうなものを探すと、消去法でカフェオレとかカフェラテというのが残る。あるいはカプチーノとかね、いわゆるコーヒーにミルクの組み合わせだけで作られるコーヒー飲料である。
カフェオレは正式にはカフェ・オ・レ、フランス語で cafe au lait と綴り、cafe がコーヒー、au は前置詞だから別にして、lait はミルク、つまりミルク入りコーヒーを意味する。一方、カフェ・ラッテはイタリア語で、Caffe Latte もしくは Caffe e Latte と綴って、意味はコーヒーと牛乳、つまりこちらもミルク入りコーヒーのことだ。
では何が違うのかといえば、そもそもコーヒーが違う。カフェ・オ・レのコーヒーはドリップコーヒー、片やカフェ・ラッテのコーヒーはエスプレッソ。あるいはカフェ・オ・レがコーヒーとミルクの分量が 5:5なのに対し、カフェ・ラッテはコーヒー 2、ミルク 8 の配分なのだそう。
なのだそう、というかそういう定説がまことしやかに流布しているようだが(僕も何度も見聞きしたことがある)、本場イタリアやフランスでも近年はことにドリップとエスプレッソの件は曖昧らしいし、ミルクとコーヒーの割合に至っては実際のところそれほど厳密な違いはあるのかしら(と思われる)。
日本の大手コーヒーチェーンでもオ・レとラッテの両方がメニューにある店もあれば、どちらか一方しかメニューに載ってない店もある。スターバックスにはスターバックスラテと、カフェミストというカフェ・オ・レに相当するビバレッジの両方が存在するが、タリーズとドトールにはカフェラテだけがあってカフェ・オ・レはない。
カフェ・ラッテとカプチーノの違いについて
カプチーノはカフェ・ラッテと同じく、イタリア発祥の飲み物でエスプレッソをベースにしたミルク入りコーヒーである。カプチーノの語源には諸説あるらしいが、カトリック教会の一派であるカプチン会の修道士のことを指す言葉で、彼らが着るフードのついた修道服、カップッチョ(cappuccio、「頭巾、フード」の意)にちなんで名付けられたと言われている*1。
カフェ・ラッテが、前述したように、一般的にはエスプレッソとミルク(スチームミルク 蒸気で温めたミルク)の割合が 2:8 なのに対して、カプチーノはエスプレッソとスチームミルクとフォームドミルク(蒸気で泡立てたミルク)の配分が 1:1:1 つまり、各々1/3 ずつということになっている。
とは言っても、実際に出されたカップをのぞき込んで見ても、スチームミルクとフォームドミルクの区別は僕にはほぼほぼ不可能で、泡立っているかいないかもその違いを見分けるのははなはだ至難の業だ。ただまあなんとなくカプチーノの方が、一口めに口元に髭のような泡がつく感触がやや強いかなあという程度ですね。すみません。
コーヒーチェーン各社のドリンク栄養成分情報を見る
さて、長い前置きはこれくらいにしてさっそくコーヒーチェーン3社(タリーズ・スタバ・ドトール)が公開している最新の栄養成分情報(最終更新日はそれぞれ異なる)を見ていくことにする。
タリーズドリンク 栄養成分情報(更新日:2019年10月25日)
ドリンク(Sサイズ) | ミルクの種類 | 炭水化物(g) | 本体価格(円) |
---|---|---|---|
カフェラテ(H) | 牛乳 | 8.1 | 340 |
無脂肪乳 | 10.2 | 340 | |
カフェラテ(I) | 牛乳 | 6.7 | 340 |
無脂肪乳 | 8.4 | 340 | |
ソイラテ(H) | 豆乳 | 3.3 | 370 |
ソイラテ(I) | 豆乳 | 2.9 | 370 |
カプチーノ | 牛乳 | 8.1 | 340 |
無脂肪乳 | 10.2 | 340 | |
豆乳 | 3.3 | 390 | |
本日のコーヒー(H) | ー | 1.5 | 305 |
アイスコーヒー | ー | 1.2 | 305 |
ハニーミルクラテ(H) | 豆乳 | 20.6 | 390 |
カフェ・ラッテ(タリーズではカフェラテ)の糖質が 8.1g と、個人的には思ったより糖質量が低かったなあというの正直な感想である。タリーズのフラッグシップコーヒーでもある「本日のコーヒー」の糖質量 1.5g には比ぶべくもないが、それでも 10g をぎりぎりクリアしているのはうれしい誤算。
アイスの方がホットより低糖質なのは、これはどのチェーン店のビバレッジについても同じことが言えるのだけど、やはり氷の占める分だけ、単純にコーヒー飲料の量そのものが少なくなるからだろうと思われる。
それからなにより注目したいのが、同じカフェラテを注文するのでも、普通に牛乳を入れるのと、牛乳の代わりに豆乳を入れたいわゆるソイラテの糖質量が大きく異なる点である。ソイラテの糖質 3.3g は、完全に糖質制限OKのビバレッジだと言える。ハニーミルクラテでは牛乳の代わりに豆乳を入れても糖質は 20.6g もあるのだから、いかにソイラテが優秀かわかるだろう。
あと、カプチーノの牛乳を豆乳(ソイ)にカスタマイズしてもらうと、やはりソイラテと同じく糖質が 3.3g になる。どちらを選ぶかはその日の気分次第だが、選択肢がひとつ増えるだけでも糖質制限中の人間にはうれしいものだ。ただしソイカプチーノの方が値段的に20円だけ高くなるのは覚えておいて損はない。
タリーズではソイ(豆乳)をカスタマイズしたビバレッジをオーダーするとこんなソイカードが手渡される。これはオーダーした製品と引き換えにスタッフに戻す仕組みになっている。
スターバックス コーヒー ジャパン 栄養成分情報(最終更新日:2019年11月1日)
ドリンク(ショート) | ミルクの種類 | 炭水化物(g) | 本体価格(円) |
---|---|---|---|
スターバックス ラテ (H) |
ミルク | 11.2 | 340 |
低脂肪乳 | 11.5 | 340 | |
無脂肪乳 | 11.8 | 340 | |
スターバックス ラテ (I) |
ミルク | 8.0 | 340 |
低脂肪乳 | 8.2 | 340 | |
無脂肪乳 | 8.4 | 340 | |
ソイラテ(H) | 豆乳 | 7.0 | 390 |
ソイラテ(I) | 豆乳 | 5.1 | 390 |
カフェミスト(H) | ミルク | 6.8 | 340 |
低脂肪乳 | 7.0 | 340 | |
無脂肪乳 | 7.2 | 340 | |
豆乳 | 4.5 | 340 | |
カプチーノ(H) | ミルク | 6.2 | 340 |
低脂肪乳 | 28.5*2 | 340 | |
無脂肪乳 | 6.5 | 340 | |
豆乳 | 4.1 | 390 | |
ドリップコーヒー(H) | ー | 2.2 | 290 |
ドリップコーヒー(I) | ー | 1.7 | 290 |
キャラメルマキアート | 豆乳 | 45.4 | 540 |
スターバックスではカフェ・ラッテをスターバックスラテと呼ぶ。一般的なビバレッジの商品名に自社の名前を冠するところなんて大した自信の表れという以外言いようがない。なんだけど惜しいかな、スターバックスラテの糖質量はタリーズよりも高くて 11.2g ある。微妙なところだけど 10g オーバーはちょっと痛い。
となるとやはりここも頼れるのはソイラテである。糖質 7.0g はぎりでセーフ。それよりなによりスタバのカプチーノが糖質 6.2g と案外使えるのだ。更にそれを豆乳(ソイ)でカスタマイズすると、なんと糖質量は 4.1g ともっともっと低くなるから驚き。ここまでの違いがあれば+50円出してもちっとも惜しくはない。
あと面白いところでは、スタバにはカフェミストという謎のコーヒー飲料があって、案外これもイケる。一口飲んでわかる味ははっきりとカフェラテ。なぜラテと呼ばずにミストなのかは不明だが。糖質量も低く、例によって牛乳を豆乳にカスタマイズすれば糖質 4.5g とソイカプチーノとほとんど変わらぬ低糖質で美味しい飲料が飲めるのだ。しかも+50円もなし。
スタバでドリップコーヒーに飽きたら断然ソイカプチーノかソイカフェミストで決まり! キャラメルマキアート? なにそれ?
ドトールコーヒーショップ栄養成分情報(2019.8.19更新)
ドリンク(Sサイズ) | ミルクの種類 | 炭水化物(g) | 本体価格(円) |
---|---|---|---|
カフェ・ラテ(H) | ー | 6.0 | 250 |
カフェ・ラテ(I) | ー | 3.5 | 250 |
カプチーノ(H) | ー | 5.6 | 250 |
豆乳ラテホット | 豆乳 | 4.7 | 288 |
アイス豆乳ラテ | 豆乳 | 4.3 | 288 |
ブレンドコーヒー(H) | ー | 1.1 | 204 |
アイスコーヒー | ー | 1.7 | 204 |
宇治抹茶ラテ(H) | ー | 21.9 | 334 |
ドトールはフード類の充実ぶりに比べるとビバレッジの方は若干寂しい感じが否めない(個人の感想です)。まあでも糖質制限的にはカフェ・ラテの糖質量 6.0g とそれなりに健闘しているし、カプチーノも 5.6g と悪くない数値だ。しかも豆乳ラテに至っては 4.7g と、5g を切るのだからまったく文句なし。
ただ残念なことに、タリーズやスタバの感覚で調子に乗って「カプチーノをソイでカスタマイズしてください」なんて言っても、「それは出来ません」とにべもないから覚悟しておいたほうがいいかもね。それからドトールのカプチーノには泡の上にココアとシナモンのパウダーがデフォルトで振りかけてある。嫌なら飲む前にソーサーについてくるスプーンで掬い取っておけば大丈夫だと思うけど。
ついでに、ドトールは豆乳(ソイ)カードがないので、大豆アレルギーの人は自分の受け取ったカフェラテが、他の人が前後にオーダーしたソイラテと間違ってないかよく確認して商品を受け取るようにしてください。
あと、僕が立ち寄るドトールやその他のチェーン店が偶然そうなのかもしれないけれど、ドトールでは何も言わなければコーヒーはソーサーとカップで提供され、スタバではほぼほぼ紙カップで、タリーズはマグと紙カップの半々くらいで提供される印象があるけど、まあこれはやっぱりたまたまなんでしょう。
ソイ(豆乳)について調べてわかった二、三の事柄
日本農林規格(以下JAS)では、豆乳とは「大豆から熱水等によりたんぱく質その他の成分を溶出させ、繊維質を除去して得られた乳状の飲料(「大豆豆乳液」と言う)であって、大豆固形分が8%以上のもの」と定義されている。
これは簡単に言うと、豆乳とは「大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮詰めた汁を濾した液状の飲み物」ということである。これだけ聴くとあまり美味しそうな飲み物だとはとても想像できないが、一般には多少味を調えた調整豆乳の方を我々は飲む機会が多いのかもしれないですね。
豆乳は植物性たんぱく質飲料で、牛乳と同じく良質なたんぱく質を多く含み、牛乳より脂質分が少なく低カロリーな飲み物であるため健康飲料として広く利用されている。加えて、牛乳にはない大豆イソフラボンが含まれているため、骨粗鬆症予防の効果や動脈硬化、更年期障害の抑止などに効果があるとされている、そうである。
まとめ
というほどのものではないが、ダイエットや健康目的で日々糖質制限に励んでいる人は、コーヒーチェーンで飲むブレンドコーヒーやアメリカンコーヒーに飽きたら、ときには思い切って羽目を外してココアを飲んだりシーズナブルなフラペチーノをオーダーするのもいいけれど、できたら暑い夏にはアイスソイラテなんかがいいと思うし、それ以外の季節にはカプチーノのミルクを豆乳(ソイ)にカスタマイズして飲む、なんて楽しみも全然ありなんじゃないかなと思ったのでした。