映画『ホビット 決戦のゆくえ』感想
『ホビット 決戦のゆくえ』を見に行く。シリーズ完結編。手離しでということになるとそこはまあいろいろとなんだそのあれこれあったりなんかしちゃうわけですが、おおむねおおむね満足だし面白かったーという感じですかね。
ドワーフの王トーリンが一族の財宝を邪悪な竜から取り戻す旅の仲間に、灰色の魔法使いガンダルフがホビット庄のビルボを推薦し、ビルボにとってはまさに冒険の旅になったというのがそもそもこのシリーズ。
重ねて書きますが、3部作の完結編だからこれを1本の映画に喩えたらいきなりラストの1/3からはじまるわけで、つまり「決戦のゆくえ」は序盤から即クライマックスなんだよね。となるともう全部がネタバレっちゃあネタバレ。
でもまだ公開初日に見たばかりなので、ほとんどネタバレなしに感想書きますね。
で、前作までをちょこっと整理すると、エレボール(はなれ山)を飛び立って港町へ向かった邪悪な竜ことスマウグはどうなったのか? 人間たち、わけてもバルドとの対決がどうなるのか? ほら、気になってるでしょ?
竜が奪った財宝のなかからドワーフの秘宝アーケンストーン(石)を見つけたビルボはそれをどうするのか? 本来の持ち主であるトーリンに渡すのか? 財宝を見つけ出したドワーフの王トーリンはその財宝をどうするのか?
囚われたままの灰色の魔法使いガンダルフの命運はいかに? エルフの親衛隊長タウリエルとドワーフのキーリの恋のゆくえは? アゾグ率いるオークたちはこのまま事の次第を黙って見過ごすのか? エルフたちは無事森へ戻れるのか? ビルボはホビット庄に無事帰れるのか? 指輪は?
などというあたりが前作からの「あー早く続きが見たーい」ポイントだったと思うのだが、結論からいうとそれぞれいちおうの決着がつく。ま、そりゃそうだよね、なんせ完結編なんだから。
これね、サブタイトルが「決戦のゆくえ」というだけあって、最後はなんとエレボール(はなれ山)にて、壮絶な最終決戦がくりひろげられることになるのだ。あ、ごめん、書いちゃった(というかそれくらい想像つくか)。
年末の紅白歌合戦は紅白に分かれた男女の歌合戦。天下分け目の関ヶ原の合戦は東西の戦い。もう少し戦いが長引けば九州の黒田如水が天下を伺っていたともいわれるが、それは来週の大河ドラマ『軍師官兵衛』の最終回を待つとしても、それ以上の壮絶な戦いがドワーフの財宝をめぐってくりひろげられる。
ホビットのあの人も、エルフのあの人も、魔法使いのあの人も、人間のあの人も、オークのあの人も、もちろんドワーフのあの人も、みんな敵味方になって大乱闘スマッシュブラザーズみたいにくんずほぐれつ戦う。
一族の名誉や意地もあるし、人にいうような理由じゃないこともあるし、具体的にお金が必要だというのもあるし、愛のためも、友情のためもあるし、なんだかよくわからないけどというのもあるし、中つ国の覇権争いもある。
ここは文句なしに面白かった。息つく暇もないほどのスピードとものすごい映像迫力。ユーモアも忘れてなかった。
戦いの顛末については正直描き足らない部分もあるような気もするけど、肝心なことは、この壮大な物語がトーリンとビルボの旅だったということだ。だからぼくが思うに、最後になって旅の叙情を妨げるような話はバッサリとカットしたのだろうと。
旅は終わった。それでいいじゃないかと。あとは『ロード・オブ・ザ・リング』3部作へとつながっていくということです。でも、これでもう次回作を待ち望むこともないんだなあ、と思うと寂しさが募って、ぎゅーっと胸が締めつけられるようだよ。