されど低糖質な日日

~Ⅱ型糖尿病患者のありふれた日常~

第1回コーヒー散歩~奥シブで「スイッチコーヒートウキョー」「リトルナップコーヒースタンド」「フグレン東京」のコーヒーを飲む

世の中には奥○○とか裏△△などという呼称が存外あって、たとえば奥日光とか奥多摩とか、裏原宿とか裏恵比寿とかね。不思議なもので奥や裏があたまにつくだけでなんだか秘境や閑静な場所というイメージが勝手に出来上がる。というか元々そういう場所だから「奥」や「裏」をつけて呼ぶことにしたのか。かつては表日本・裏日本なんていう言い方もあったのだが、最近はほとんど聞かれなくなった。表はともかくさすがに裏日本ではどこか侮蔑的・差別的な感じがしてマズいわけでしょう。天気予報などでいまふつうに使われるのは太平洋側と日本海側。無難に地理的な表現で統一している。まあそれはいいとして。

渋谷東急本店から井ノ頭通りを抜け代々木八幡・代々木公園駅にまで至る神山町・富ヶ谷一帯を「奥渋谷(通称奥シブ)」と呼ぶそうなのだ。あるいは「裏渋谷」。奥シブ(裏シブ)は渋谷の喧騒から離れ、閑静な住宅街のなかに大人でも楽しめる雑貨店やギャラリー、おしゃれカフェが点在していることから近年とくに人気を集めているという。堂々と、しかも差別的ニュアンスをちっとも感じさせず逆に最大限利用する姿勢が垣間見えていかにも逞しいなあという思いで、神山町商店会の黄色い幟を僕は見上げたのだった。

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奥渋の渋という文字の「止」の下の”ちょんちょん”と4つ打っている(旧字体では止がふたつ横並び)部分が四つ葉のクローバーになってるところがなんとも可愛い

今日のコーヒー散歩は、といきなり始まりましたがもちろん「いきなりステーキ」ではない。散歩の途中にいきなり見つけた美味しいコーヒーショップやコーヒースタンドを紹介しつつ、テキトーになんか書いてみようというのを思いついたわけだが、いっても美味しいコーヒーショップやコーヒースタンドがそうそういきなり見つかるわけもなく、現実にはガイドブックやインターネットであらかじめ目星をつけておいた店を訪ね歩いてみましょうよということだ。

映えある第1回目は、そのいわゆる奥シブと呼ばれる人気スポットを歩いてみた。初めてなので気負ってかなり広範囲にわたり歩き倒したため、しまいにはぐったりなってしまったほど。無理はよくない。あまり天気も良くなくてときどき雨に降られたりもしたからよけい疲れたのかもしれないなあ。スタートとゴールは小田急小田原線の代々木八幡駅。もちろんそこに至るまでとそこから家に帰りつくまでが本当の意味での遠足散歩ではあるが、わけあって割愛する。

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代々木八幡駅は小田急線各駅で新宿から3つめ南新宿・参宮橋の次の駅

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駅の陸橋改築工事中の代々木八幡駅

新宿から来て駅の南口改札を出るともうすぐ目の前に「Switch Coffee Tokyo(スイッチコーヒートウキョー)」がある。1号店は目黒にあり、代々木八幡にあるのはその2号店。コーヒースタンドというより、例えは悪いが不動産屋か葬儀社の駅前アンテナショップという趣だ。あるいは商店街の案内所とか。店のなかにもカウンターがある他は、座ってコーヒーを飲む席もなければフードメニューの華やかなショーケースもない。オーナーこだわりのアイテムの類もとくに見当たらない。それくらい本当に何もない。店の前に2人掛けくらいの小さな白いベンチがあるきりだ。店舗用テントがわずかにスイッチコーヒーを象徴する(のか?)鮮やかなスカイブルーで人目を惹く。

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パッと見なに屋さんかわからないこじんまりしてさして特徴のない外観

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歩道に小さな立て看板がポツンとひとつだけ置いてある

平日の昼間で他にお客さんはいなかった。メニューは少しも複雑ではない。ホットコーヒーかアイスコーヒーか。カフェオレやカプチーノとハンドドリップのシングルオリジンコーヒーが数種類と。僕は今回ホットコーヒーを注文。素早くポットからテイクアウト用カップに提供される。「ホンジュラスです」という言葉が添えられて。まるで「愛しています」の花言葉のように。でも残念ながらホンジュラスというのはご存知、国の名前でコーヒー豆の産地のこと。300円。安い。テイクアウトカップは若干小ぶりで、おしゃれなロゴマークもなにもないただの真っ白なカップだった。いかにも無垢な感じがする。持ち運ぶのに火傷をしないように、あるいは買ってすぐに飲めるようにという配慮からか、コーヒーはそれほど熱くなかった。そして(大事なこと)おいしい。

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ほどよい酸味でいま流行のサードウェーブコーヒー

しばらく店先のベンチに腰かけぼんやりと駅前を通りゆく人々の姿を眺めながらコーヒーを飲んでいたが、その間、僕の他とうとうひとりのお客さんも立ち寄らなかった。人気スポット代々木八幡駅のまさに駅前一等地で、ロケーション的には抜群の立地だと思うけど、経営状態はダイジョブなのかなあと余計なことが心配になる。それともたまたま時間帯が悪かっただけで、朝夕の通勤時刻は毎日行列ができるのかもしれないものね。ホント余計なことばかり考えるのは僕の悪い癖だ。

www.switchcoffeetokyo.com
コーヒーもボチボチ飲みおわったところで、続いて地図を頼りに小田急線沿いを右手に代々木公園を見ながら新宿方面に戻る感じで歩いていくと、しばらくして目印の「渋谷はるのおがわプレーパーク」が見えてきた。そのすぐ脇に公園の売店のような小さなコーヒースタンド「Little Nap COFFEE STAND」はある。なにやらガレージセールのお店みたい。一見して初めて入るにはちょっと敷居が高そう。でもここ、とにかくすごい人気店らしいのだ。地理的には代々木公園西門近く、代々木公園全体を俯瞰するとJR原宿駅がちょうど真東になる。もっとも代々木公園を俯瞰して見ることなどめったにないだろうけどね。

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小さいながらいかにもインスタ映えしそうなおしゃれな外観

勇気を振り絞って店内に足を踏み入れる。狭い。そして雑多。表の椅子も含めてもそれほど多くの人が座ってコーヒーを飲めるところではないことがひと目でわかる。店名が示すとおり典型的なコーヒースタンドだ。この日もあいにくほぼ満席。噂どおり外人のお客さんも数名いたし、僕のあとからも続々とお客さんがやってきては思い思いのコーヒーを注文していく。僕は迷わずテイクアウトの本日のドリップコーヒーを注文した。本日のドリップコーヒー、コロンビア430円。店員さんはいまふうのおしゃれなあんちゃんとおねえさんのふたりで、でもふたりともすごく感じがよかった。失礼だけど、ただチャラいだけの人だったらいくら提供されるコーヒーが美味しくてもなんだか嫌だなあと思っていたから。

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どれもこれも店主こだわりのおしゃれなグッズが所狭しと飾ってあってそれらを見ているだけで楽しい

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白地のテイクアウト用カップにスケボーする少年の図柄(背後を小田急線が走る)

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かつてはこの付近に童謡 『春の小川』の題材となったことで知られる河骨川がありその記念の歌碑が立っている

ちなみに河骨川ものちに出てくる予定の宇田川もともに渋谷川の支流のひとつで、前回の東京オリンピックの際、下水道を整備するために暗渠化されたそうだ。そしてここにきて渋谷駅周辺の再開発に伴い、再び渋谷川の流れを復活させようという動きがにわかに本格化している。そのこと自体はなにも反対する理由はないが、前回と2020年とふたつの東京オリンピックに挟まれたなんだか因縁めいた物語を感じるのと、なにより人間の身勝手さを深く思い知らされる出来事であるなあと思った。

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コーヒースタンド近くにある貸衣装屋さん

もうひとつどうでもいい情報だろうけど、「東京衣装」さんの店頭でみかけた上の写真の着ぐるみ一式が、基本3泊4日で16000円だそうです。高いのか安いのか値段の価値観がさっぱりわかりませんが。どうですかお子さんの誕生日にでも。 さて「淹れたては熱いですのでお気をつけください」と言われたとおり本当に熱々だったコーヒーも、この頃には十分さめてちょうど飲める温度になっている。カップのスケボー少年の図柄はこういう公園の背景にこそいかにもマッチする。

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しつこいようだが代々木公園西門付近にて

www.littlenap.jp

「Little Nap COFFEE STAND」から井ノ頭通りまで戻ってきて、そのまま井ノ頭通りと山手通りが交差する富ヶ谷交差点まで進むと、焙煎所兼コーヒースタンド「Little Nap COFFEE ROASTERS」もほど近い。こっちは2017年2月にオープンしたそうだからまだそれほど歴史は古くない。

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交通量の多い富ヶ谷の交差点を歩道橋の上から眺める

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「Little Nap COFFEE ROASTERS」ここも満席で今回は中に入らずコーヒーも飲まずただ通りすぎただけ

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パンの名店ルヴァン 富ヶ谷店 (Levain)はすぐお隣

実はね、せっかく代々木八幡まできたからにはどうしても寄りたい、寄ってコーヒーを飲みたいコーヒースタンドがもう一軒あったので、残念だがリトルナップロースターには立ち寄らずコーヒーも飲まず。で、再び踵を返し井ノ頭通りを代々木公園交番付近まで戻ってくる。井ノ頭通りはその交番前で渋谷方面に右折するのだが、並行して通っている宇田川町遊歩道(宇田川暗渠)沿いに、ノルウェーから上陸した「Fuglen Tokyo(フグレン東京)」という知る人ぞ知る人気コーヒースタンドがあるのだ。お客さんのほとんどが外国人ということもあるよ。

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「Fuglen Tokyo(フグレン東京)」は奥渋谷を代表するコーヒー専門店

店名の「フグレン」とは、ノルウェー語で「鳥」という意味だそう。店内はノルウェーのヴィンテージデザインの家具や小物で統一され、それぞれの家具や小物は実売もしているという。あまり○○のひとつ覚えみたいにおしゃれだおしゃれだと言いたくはないが、でもやっぱりおしゃれなデザインの内装には遙か遠く離れた土地ノルウェーという国への憧れもあって素晴らしく魅かれますね、僕は。なにやら素朴な感じがして。ノルウェーというのがどんな国かも知らないくせに。『ノルウェーの森』くらいしかね。

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「Fuglen Tokyo(フグレン東京)」店内のデザインその1

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「Fuglen Tokyo(フグレン東京)」店内のデザインその2

まあでも、なにより僕はここのコーヒーが大好きなのだ。この日注文したのは本日のコーヒーレギュラー360円。その場で素早くポットから提供される。サードウェーブコーヒーの代名詞ともいえる浅煎りコーヒー豆のフルーティーな酸味が、なんともたまらなく美味しく感じられる。思えばブルーボトルコーヒーなんかよりもうんと前からサードウェーブコーヒーは日本に根付いていたってことなんだなあ。

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テイクアウト用のカップに施された赤い鳥のロゴマークもお気に入り

実は以前この店を訪問した時はじめて注文してみた「エアロプレス・コーヒー」というのがあるのだ。

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エアロプレスで淹れられた浅煎りのコーヒーは、小さなピッチャーと空のカップで提供される

エアロプレスというのはコーヒーの抽出方法で、フレンチプレスと似ているがフレンチプレスとのいちばん大きな違いはエアロプレスではペーパフィルターを使うという点だそうだ。といっても実物を見たことがないので確かなことは言えない。豆は4つの種類のなかから好きなシングルオリジン豆をどれかひとつ選ぶ。その日はたしかケニアを選んだと思う。ピッチャーのコーヒーは小さなカップにおよそ2杯分とれて520円だった。すこぶるおいしかった。

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ピッチャーからカップにコーヒーを注ぐとまるで琥珀色に輝いているようだった

fuglencoffee.com

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この日は都合3杯のコーヒーを飲んで最後には代々木公園を反対側に回って明治神宮まで歩いた

途中、というか正確にはリトルナップコーヒースタンドのあとフグレン東京に立ち寄るまでの間に、地下鉄代々木公園駅を出たすぐの場所にある立ち食いそばの「富士そば」で、立ち食いなのに椅子に座ってミニ豚しゃぶしゃぶ丼もりそばセット(520円)をお昼ごはんに食べたのだった。うっかり写真を撮りそこねたので次回から(次回があれば)忘れずそのあたりもきちんと押さえてレポートしたいと思う。反省。ま、そんなわけでこれでコーヒー散歩第1回・代々木八幡編を終わります。第2回めも(あるかどうかわからないが)どうぞお楽しみに。 

 

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