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 されど低糖質な日日

猿田彦珈琲~都内全店舗でコーヒーを飲んでみたまとめ

猿田彦珈琲は恵比寿に本店を置くスペシャルティコーヒーの専門店だ。「たった一杯で幸せになるコーヒー屋」をコンセプトに掲げ2011年6月オープンした。本店からほど近いアトレ恵比寿や表参道、新宿、神谷町、調布仙川などと意欲的にチェーン展開をすすめてきた。テレビCMでも一度は目にしたことがあるだろう、ボトル缶コーヒーのジョージアヨーロピアンを監修したことでもつとに有名である。

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猿田彦珈琲というユニークな名前は伊勢神宮内宮近くにある猿田彦神社に由来するらしい。猿田彦大神とその子孫の大田命(オオタノミコト)をお祀りしている神社で、「みちひらき」の神様として知られている。「みちひらき」というのは何かを始めようとした時にそのみちがひらくよう最も良い方向に導いてくれることをいう。ちなみに猿田彦神社の境内にある佐瑠女(サルメ)神社の御祭神は天宇受売命(アメノウズメノミコト)で、あの天照大神が天の岩戸に籠もられた際に岩戸の前で踊った神様なんですね。なので芸事や縁結びの神様とも崇められているのだ。猿田彦珈琲の八角形のロゴマークも猿田彦神社にある八角形の石柱にあやかったものだとか。そこはかつて御神座のあった最も神聖な場所なのだというから、つまり猿田彦珈琲こそはコーヒーチェーン界のパワースポットであると断言してもいいのではないだろうか。

 

恵比寿本店

恵比寿本店は間口も奥行きもおよそ名の知れたコーヒー店とは思えないほど狭く小さい店構えだ。よほど注意してかからないとうっかり素通りしてしまいそうになる。いつ行っても混雑していて座れないといわれる店内は、ざっとテーブル席が5つとカウンター席が4つ、表にテラス席とがある。テーブルや椅子はいかにも手作りしたふうな趣きで、山の中の小学校の分校にでもありそうな机と椅子を思わせた。僕が店を訪れたのは平日の午後1時をとうに過ぎた時間だったこともあってか、一番奥の注文カウンターすぐ横のテーブル席を運良く確保できた。

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僕にとっての猿田彦珈琲のデビューは深煎りの「猿田彦フレンチ」でした。苦みとコクと酸味がバランスよく熟成された実に美味しい一杯でしたね。評判は聞いていた抜群のホスピタリティはさもありなん。どこぞのファーストフード店のスマイル100円のようなマニュアル化されたものでないホスピタリティがもしこの先のチェーン展開にもかかわらず維持されてゆくとしたら、それは大手コーヒーチェーン店にとって相当な脅威となるだろうなあと思った。 

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【店舗データ】 
東京都渋谷区恵比寿1-6-6
営業時間 : 平日8:00~24:30 休日10:00~24:30

 

アトレ恵比寿ウエストサイドストア店

アトレ恵比寿ウエストサイドストア店は本店すぐ近くのアトレ恵比寿内にある。ご覧のとおり(下の写真)オープンカウンターなので、自分が注文したコーヒーがハンドドリップされてゆく様子などもバッチ見学できるのだ。さらにカウンター向かって右横にはゆったりくつろげるテーブル席(ソファ席もあり)も多数ある。

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ここでは浅煎りのシングルオリジンコーヒーを注文。コスタリカ産の豆を焙煎したというもの。トランブカードのクローバーの「2」を手渡されカウンターの前のベンチで待つこと数分、鮮やかなデザインのテイクアウト用カップがお目見えした。このカップいかにも持って街歩きを楽しみたくなる素敵なデザインですよ。そして肝心の浅煎りのコーヒーは深煎りフレンチとはまるで異なるクリアでフルーティーで味わい。ちょっとコーヒーじゃないみたいなね。

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【店舗データ】
東京都渋谷区恵比寿南1-6-1 アトレ恵比寿西館1F
営業時間 : 8:00~23:00

 

表参道店(H.I.S.旅と本と珈琲とOmotesando内)

猿田彦珈琲表参道店は東京メトロ表参道駅から原宿駅方面に向かってアップルストア先の角を右に折れてすぐの場所。「H.I.S.旅と本と珈琲と」ビル内にある。建物の半地下の階段を降りるとその入り口がもう注文カウンターになっている。そこでコーヒーを注文して旅の本を眺めながら次の旅の計画を練るもよし、空想の旅に耽るもよし、それだけでワクワクと気分が高揚しそうだ。僕は本日のコーヒーである表参道店限定の中深煎り「旅の扉ブレンド」を注文した。というか正確に書くと、猿田彦珈琲の他店舗でもらったレシートを持参すると当日に限りどの店舗でも本日のコーヒーが200円でおかわりできるという非常にありがたいサービスを利用させてもらったのだ。スタバやドトールならいざ知らずまだそれほど大きなチェーン展開をしてないゆえに、当日中に二度まで猿田彦珈琲を訪れることもめったにないだろうが、こういうサービスはうれしいですよね。「(アトレ恵比寿店のレシートを見せながら)これ使えますか?」と恐る恐る尋ねる僕に、「もちろん大丈夫ですよ。恵比寿からお越し下さったんですね。ありがとうございます」と笑顔で応対してくれたおにいさん。200円を支払ってテイクアウト用のカップを受け取り、夕暮れの表参道ヒルズ界隈をぶらりと冷やかしながら家路という小さな旅を僕は満喫したのだった。

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【店舗データ】
東京都渋谷区神宮前4-3-3 バルビゾン7番館 H.I.S.旅と本と珈琲とOmotesando 1F
営業時間 : 11:00~19:00 

 

アトリエ仙川

知る人ぞ知るコーヒー激戦区・東京都調布市仙川。駅前のロータリーを抜けるとほぼ正面突き当たりにあるのが猿田彦珈琲アトリエ仙川店だ。右に星乃珈琲、左にカルディコーヒーファームが運営するカフェカルディーノやスターバックスコーヒーと隣接するなんとも過酷な恵まれた立地条件である。2階建ての建物はたまたま今は外装工事中とかで全景写真が撮れなかった。なので失礼して入口から店内を覗いたところと、外壁のシンプルなライティングの看板を写真に収めてきた。残念ながらこの日は仙川の他のコーヒー店もいくつか訪れる予定があり猿田彦珈琲は泣く泣く遠慮。外装工事が終わる4月以降再度訪れ今度は是非とも仙川店限定ブレンドを味わってみたいですね。まあしかしこの激戦地で継続して商売していくのは至難の業だろうなあというのが素直な感想だ。

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【店舗データ】
東京都調布市仙川町1-48-3 P'sスクエア仙川
営業時間 : 平日~7:00~22:30 休日/10:00~22:30

 

調布焙煎ホール

猿田彦珈琲のすべての豆の焙煎をここでまかなっているという工房。そこに併設されたカフェが調布焙煎ホールだ。いわく猿田彦珈琲の旗艦店。京王線調布駅からいちばん遠いトリエ京王調布C館のさらにいちばん奥まったところにある。ガラス張りのおしゃれでゆったりとした店構えだ。僕が店を訪れたのは遅い時間だったため、店内は落ち着いた感じの仄暗い間接照明に包まれていたけれど、昼間であればずいぶん開放感がある明るい空間だろうなあと容易に想像できる。

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そしてここの特徴はなんと言っても焙煎工房を眺めながら美味しいコーヒーを飲むことができることだろう。清澄白河のブルーボトルコーヒーといい、2018年12月にはスターバックスコーヒーのロースタリーカフェも中目黒に誕生するそうで、こういう趣向の店が流行っていくのかもしれないですね。

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本日のコーヒーは調布焙煎ホール限定の深煎り「リトル調布」か中深煎り「春のブレンド」で、どちらもSサイズ¥300だった。僕は迷わず「リトル調布」を、ちなみにお昼ごはんがまだだったのでホットドッグも併せて注文した。ここでは番号札代わりにカルタ札を手渡され、注文カウンターのちょうど裏側辺りの席のテーブルにカルタ札を立てて待つこと数分、お待ちかねのコーヒーとホットドッグがやってきた。コーヒーは言うに及ばずホットドッグ、大ぶりのウインナーもウインナーを挟んだパンもともに絶品でしたよ。

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【店舗データ】
東京都調布市小島町2-61-1トリエ京王調布C館1階
営業時間 : 10:00~21:00

 

 

猿田彦珈琲とティキタカ アイスクリーム のお店

通勤客と買い物客とその他ただの通りすがりの人々が忙しなく行き交う場所。ルミネ新宿ルミネ1の玄関口にあるオープンスタンドの店。ずばり店名のとおり猿田彦珈琲とティキタカアイスクリームがコラボしました。もうそうとしか言いようがないのが猿田彦珈琲とティキタカアイスクリームのお店だ。では「ティキタカ」って何? はいその答えはプレスリリースにあります。

「ティキタカ」とは、個人プレーのドリブル突破ばかりでなく、沢山の人が関りながらパスを繋ぎ、ゴールに向かうボール回しの事です。多くのお客様に何度も立ち寄って頂きたい、スタッフとお客様のコミュニケーションが一方通行ではなく、お互いにどんどんと膨らみ、サーカスのようなワクワクする時間をとの想いを込めて付けた名前です。

――だそうです。もとはスペイン語のサッカー用語なんですよね。ワンタッチでパスを繋ぎながらゴールに迫っていくそのリズミカルなプレーを「ティキ・タカ、ティキ・タカ」ってふうに表現したものらしい。猿田彦という名前もアレだけど、アイスクリームの店にティキタカって。面白いもんだなあ。ふふふふふ。

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まあでも名前はアレでも売ってるものはふつうのアイスクリーム屋さんのアイスクリームだ。カップ2玉450円、3玉555円、コーン2玉480円。ふつうに猿田彦珈琲のコーヒーも販売している。さらに「和三盆みるく」のアイスクリームと水出しのシングルコーヒーとが合体した「コーヒーフロート」(580円)なんていう絶品メニューまである。なんでもこのコーヒーフロート、猿田彦珈琲の店主がそもそも珈琲店を始めるきっかけのひとつになったのがたまたま雑誌で見かけた海外のコーヒーショップのコーヒーフロートだった、といういわくつきのものらしいよ。ふふふふふ。やっぱり面白い。でもこれホント美味しいから。

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朝の時間はほら、「お待たせしません!」のこんな素晴らしいサービスもあるのだ。一杯一杯時間をかけてていねいにハンドドリップする猿田彦珈琲ならではのあえて「すぐ出るモーニングコーヒー」サービスなのだろう。ここ通ってる人ってホントみんな年中盆暮れか正月のように忙しそうだものね。

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基本スタンド形式の店舗だけど奥には小さなイートインコーナーもある。そのコーナーには変わった形の嵌めごろしのガラス窓があって、外から透かして見るとよくわかるように猿田彦珈琲の例の六角形の形をしているのだ。

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小さなイートインコーナーにあるのは変わった椅子で、ちょうどお尻がすっぽり収まる形になっている。真上から見ると銀杏の葉っぱみたいでもある。坐り心地がいいんだか悪いんだかね。アトレ恵比寿店にも同じ椅子があるんだよ。

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【店舗データ】
新宿区西新宿1-1-5 ルミネ新宿店ルミネ1 1F
営業時間 : 8:00~22:30
 

 

ビームス ジャパン 新宿店

ビームスジャパン1F入口すぐの場所にあり、店外からも購入できる小さなコーヒースタンドふう、それがビームスジャパン新宿店。かつての日本家屋の蔵や格子をイメージした外観に、モダンでレトロな照明という和テイストが印象的な店構えだ。

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表のカウンターには懐かしいラジカセなんてのもさりげなく置いてある。ただのオブジェではなくちゃんとラジオ(音楽)が流れていた。ラジカセと猿田彦フレンチというミスマッチが逆にオシャレな取り合わせだ。あとは店の前のガードレールに腰掛けてコーヒーを飲むもよし、隣のベンチに腰を下ろしてひと休みするもよし、カップを手に新宿の雑踏に消えるもよし。新宿にはフレンチの苦みがよく似合う。

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【店舗データ】
東京都新宿区新宿3-32-6 ビームスジャパン1F
営業時間 : 10:00~21:00

 

 

神谷町オレンジ店

東京メトロ日比谷線「神谷町駅」から徒歩3分。ご覧のとおりすぐ近くに東京タワーを見上げる立地に神谷町オレンジ店はある。猿田彦珈琲そのものはテイクアウト専用のコーヒースタンドという趣きなのだが、奥にオレンジブレイナリーというサードプレイスが併設されている(どちらがどちらを併設しているのかという問題はさて置いて)。なので、そこのテーブルやソファーを自由に使ってコーヒーが飲める。オレンジ店という名称はつまりまあそこからきているというわけだ。なおオレンジブレイナリーについて興味がある人は別途検索してみてくださいね。

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桜田通りから猿田彦珈琲神谷オレンジ店を眺めたところ。

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店内から眺めるカウンター(厨房)の様子はこんな感じ。

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この日の東京は4月だというのに27℃の暑さで、僕はアイスコーヒー(S)「ぼくのイタリアンロースト」(¥350)を注文。同行者は「アイスラテ」(¥430)と季節限定の桜抹茶ラテ(¥550)を注文。一般的にはフレンチローストよりも深い焙煎のことをイタリアンローストというそうで、「ぼくのイタリアンロースト」は猿田彦珈琲のフラッグシップコーヒーともいうべき「猿田彦フレンチ」よりもさらに深煎りということになる。だけどアイスコーヒーだったからか、苦みもそれほど意識することなく美味しくゴクゴク飲んじゃった。それから猿田彦のアイスラテは元々のコーヒーが深煎りなので、ラテにするとよりいっそうコクが引き立ち同時にまろやかにもなるので、これも実に美味しい。

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季節限定の桜抹茶ラテは抹茶の色が鮮やかだけど、これは想像以上に甘い。平日の午後で通りすがりのお客さんが頻繁にやってきてはコーヒーを注文していくのだが、そのほとんどはテイクアウトなのだ。なので(たまたま僕らがいた時間帯がそうだったのかもしれないが)店内はずっと開店休業状態で、ソファにゆっくりくつろいでいるとBGMが耳に心地よくって、ついウトウトしてしまいそうになる。まあ、それもありかなあと思わされる雰囲気だだった。

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【店舗データ】
港区麻布台1-11-10日総第22ビル1F
営業時間 : 平日8:00~19:00/土曜10:00~18:00/日祝休み

 

アトリエ仙川店/リベンジ

前回の訪問時にはビルの外装工事の真っ最中で仙川店の外観写真が撮れなかった。なので今回工事終了を見計らってリベンジ敢行。猿田彦珈琲アトリエ仙川店こんな感じ。爽やかなベールブルーの外壁とガラス壁で覆われたおしゃれな2階建てのビルに、まるごとテナントとして入居している。

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2階店内はこんな具合。夜の帳が下りると星空を見上げながらコーヒーが飲める。ロマンチックで開放感たっぷりだ。

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この日僕はシングルオリジンコーヒー中煎りの「ケニア ティリク」(¥460)を。酸味と甘さが絶妙な口当たりで、このコーヒーはほんとうに美味しかった。同行者はココアショート(¥380)とアンパン(¥240)を注文した。ココアにはホイップをのせてもらう。「アンパンは温めますか?」と訊かれたので、なんだかコンビニで弁当買ったみたいだなあと思いながらも同行者が「お願いします」と答えると、レシートに「ヒーティングアンパン」と刻印されていて笑っちゃった。

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なんでも仙川店近くの行列と売り切れ必至の超有名なパン屋さんAOSAN(アオサン)とのコラボだそうで、こことアトレ恵比寿店のみの限定販売なのだとか。実はね、トシヨロイヅカのケーキがあると聞いていたのだが、そっちは既に売り切れていてそれでアンパンはセカンドベストだった。

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帰りは案外急なこの階段を奈落の底へとしずしずと降りていくのだ。

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 おしまい。

 

《まとめ》のようなもの

猿田彦珈琲の面白いところは、チェーン展開をしながらそれぞれの店舗が独自色を持っていることだろう。店構えからその店限定のコーヒーやフードに至るまで、チェーン店とは思えない緩やかなルールのなかで自由に個性を主張しているようにみえる。共通しているのは群を抜いたホスピタリティで、でもそれとてけっしてお仕着せでなく押しつけがましくならない程度に緩やかな、まさに「もてなしの心」なんだなあと感じました。

 

新店情報

武蔵小杉店が4/30(月)オープン予定!

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