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~Ⅱ型糖尿病患者のありふれた日常~

『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』ネタバレ感想

『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』を読んだ。同シリーズは第1部『ドラゴン・タトゥーの女』第2部『火と戯れる女』そして第3部『眠れる女と狂卓の騎士』と順調に3部作が刊行されてきたがその時点で物語はまだ完結したとは言い難かった。ところが著者のスティーグ・ラーソンさん急死。たちまちシリーズの存続が危ぶまれた。というか本来なら完全にもうアウトですよね。なのですが遺族の意向か出版社の意向かそこは知る由もないがたぶんにお金儲けの匂いをプンプンさせながらあらたな著者ダヴィド・ラーゲルクランツさんを迎え第4部『蜘蛛の巣を払う女』が出版され日本でも翻訳された。そうなると期待半分怖ろしさ半分でも読まないわけにはいかない読まないではいられない。読んでみた。え?ほんとうに著者変わったの?というのが僕のまぎれもない第一印象だ。展開ははじめのうちこそ少しモタつくけれどそれはシリーズとおしても言えることで後半はあいかわらずスピーディ。登場人物たちのキャラクターもそのまんま。前3部作の物語の仔細についても僕レベルが気づく範囲で十分研究され今作にもきちんとそれが反映されている。まったくケチのつけようがないくらいだ。というか面白い。面白いじゃないか。お金儲け云々なんてその歓びにくらべたら小さい小さい。あらかじめ知らされなければ著者が変わったことなど僕はつゆほども気づかなかっただろう。あらすじはどうしようかなあ。興味ある?超簡単に端折って書くね。フランス・バルデル教授という人工知能の世界的権威が殺された。これが事件の発端。いまわの際に偶然呼び出されていたのが「ミレニアム」の敏腕記者ミカエル・ブルムクヴィストだった。しかも殺されたバルデル教授の影にふたりの女が見え隠れする。そのうちのひとりが凄腕のハッカーでドラゴンタトゥーの女こと我らがリスベット・サランデル。もうひとりが(これ書いちゃうと完全ネタバレになるけどいいや)カミラという前3部作では噂だけで一度も姿をあらわさなかったリスベットの双子の妹だ。彼女こそが双子の父ザラチェンコの莫大な遺産と圧倒的な支配欲・凶暴極まる暴力性のDNAを正当に(?)受け継いだ娘だった。ここにアメリカの国家安全保安局(NSA)やバルデル教授のひとり息子で自閉症のサヴァン症候群のアウグスト少年が絡んでくる。リスベットとアウグストこの似た者同士の関係性というかぶっきらぼうな交流は微笑ましくもちょっと感傷的になるんだよね。実をいうと黒幕はカミラだというのは早々にわかるわけでそうなるとほぼミステリーの要素はないに等しい。大人になったリスベットとカミラの因縁の対決が最大の山場かとおもいきや結論から云うとそこもやや肩すかしをくらうのである。いまだカミラの悪の全貌が立ちのぼってこずもどかしい感じがした。とはいえあたらしい著者を得て物語が新たな局面に立ち入ったのは間違いない。今作はその幕開け的な意味合いが大きいと捉えるのがどうも正解のような気がします。喩えて言うのも変なのだが寅さんが旅先でいつものように騒動を巻き起こす『男はつらいよ』シリーズみたいなもので『ミレニアム』も登場人物たちのキャラクターで少々強引な話でも夢中になって読ませてしまうのだろう。「ミレニアム」編集長エリカやブブランスキー警部ソーニャ・ムーディグ刑事リスベットの元後見人ホルゲル・パルムグレンなどおなじみのキャストたちももれなく登場する。そういった全幅の安定感は揺るがないよね。ホメてばかりいてもアレなのでちょっとだけ不満だったところも書いておく。案外ミカエルの活躍の場が少なかった。リスベットの過去が語られ過ぎて彼女の謎めいた魅力が以降半減した。殺し屋とスパイ小説もどきで全体的にアメリカナイズされた恨みが残る。人工知能やサヴァン症候群やリスベットがネットワークに侵入して見つけたアメリカ国家情報局の暗号ファイルなどいろいろ広げた風呂敷は正直どれもわかったようなわからないような。その割には話の結論が尻すぼみに収束してった。僕の認識不足もある。まあでもこれで当分カミラネタでシリーズを引っ張ることができるわけだ。リスベットvsカミラふたりの最終決戦は文字通り最終話まで続くのか。それともあらたな強敵が出現するのか。そこへミカエルがどう絡むのだろうか。いずれにせよ続編が待たれる。

ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (上)

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  • 作者: ダヴィドラーゲルクランツ,スティーグラーソン,ヘレンハルメ美穂,羽根由
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/12/18
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ミレニアム 4 蜘蛛の巣を払う女 (下)

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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 上 (早川書房)

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ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 下 (早川書房)

ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女 下 (早川書房)

 

 

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