されど低糖質な日日

~Ⅱ型糖尿病患者のありふれた日常~

有給休暇

いまは3ヶ月に一度になった今日は糖尿病の定期健診の日。会社には通院ということで有給休暇をもらった。午後に家を出て電車とバスを乗り継ぎいつもの大学病院へ。到着後すぐさま採血・採尿を済ませ結果が出るまでの1時間余りを病院の待合室で過ごす。今日の採血の看護師さんは上手な人でほとんど痛みを感じなかった。ああいうのにもちゃんと上手い下手があるのだ。外は梅雨の中休みとは思えないくらいの猛暑だった。電車のなかもバスのなかもとくにバスのなかは寒いくらいガンガンに冷房が効いていた。病院の待合室も午後だいぶ遅い時間だったせいか待っている人はまばらで思いのほか快適だった。ただ朝からなにも食べてないのでお腹が空いた。もう採血も採尿も済んだあとだ。いまさら食べ物を口にしたところで検査結果に影響を及ぼすことはないはず。なのにそうはいっても先生の診察が終わるまではなんとなくうしろめたさというか罪悪感というか恐怖感というかそういうのがあるんだなあ。不思議なもんだけどね。しかたないので家から持参したアイスコーヒーを飲んで空腹をしのぐ。そのあいだ血圧や体重を自分で測っておく。血圧は僕もそうだけど他の人のを観察してるとなんどか測り直してどうやらそのなかでいちばんよい結果がでた印紙だけを残しそれ以外は捨ててるみたいだ。あれも可笑しい。だってどうせなんらかの病気でここに来てるんだからいまさら見栄を張ってもしょうがないのにね。というより悪ければ悪いなりの結果を堂々と見せるべきなんだと思うんだけどね。よけいな薬が増えたり先生に怒られたり厭味をいわれるのが嫌なんだよ。僕はそういう気持ちよくわかるなあ。というかまさに同じことやってるから他人のこととやかく笑えない。でもやっぱりソコハカトナク可笑しい。関係ないけどむかし作家の立松和平さんがテレビのドキュメンタリー番組で女装倶楽部に潜入取材したときのことを思い出した。「人間の心理というのは面白いものでどうせ女装するならできるだけきれいになりたいと思うものです」といったあの立松和平さんどくとくのアクセントが妙に懐かしい。血圧を立て続けになんども測ったなかでいちばんよい結果を報告する心理って違うかもしれないけどどうせ女装するならできるだけきれいに変身したいという心理に近いような気が僕はした。まあそれはともかく今日の血圧も体重もどちらも問題なさそうでよかった。そろそろ待ちくたびれてウトウトしはじめた頃に看護師さんに名前を呼ばれ診察室に入るよう促される。主治医(の先生)はパソコン画面の採血・採尿結果を見ながら血糖値(ヘモグロビンA1c)はとくに前回あまりおもわしくなかったのだが今回はそのときよりは少し改善していますといった。ホッと胸を撫で下ろす。アドバイスというより引き続きがんばりましょうと励ましの言葉とともにいつもの薬を処方してもらった。待ってる時間にくらべてほんとあっという間に病室を出る。メインエントランスに大きな七夕飾りが飾ってあった。色とりどりの短冊を見るとはなしに見ると「息子の病気がよくなりますように」とかたどたどしい文字で「はやくたいん(ママ)できますように」とかね。そりゃあ病院だもの。願うことなんてみんないっしょひとつきりしかないよね。というわかりきったこの世の絶対の真理を見せつけられた気分でたまらなくせつなくなった。他人の短冊なんて見るもんじゃなかったなあと後悔した。自分の番がきたのでさっさと会計を済ませ(採血の注射針よりなんといってもこれがいちばん痛い)薬を受け取り病院をあとにする。そうしてまたバスと電車に揺られ家路につく。ああそうだ今日は途中寄り道して都心の大きな新刊書店へ寄ったのだった。最近はさぼって本屋さんをチェックしてなかったので驚いた驚いた。2回書きました。フロスト警部の最新作『フロスト始末』が出てるし佐伯一麦さんのまだ読んでなかった『渡良瀬』もついに文庫化されていた。よほど買って帰ろうかと迷ったがまだ読んでいる途中の本やこれから読もうと思っている本が手元にいくつかあるので今日のところはグッと我慢した。といってもいつAmazonnで注文してしまうかわかりませんが。夜ごはんのあと西瓜を食べながら都民ファーストが圧勝した都議選の最終的な結果などをニュースで見る。議会の議席数なんてオセロゲームみたいなものでまた違う風が吹けば白と黒の形成はいっきに逆転するものだろう。 

フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)

フロスト始末〈上〉 (創元推理文庫)

 

  

フロスト始末〈下〉 (創元推理文庫)

フロスト始末〈下〉 (創元推理文庫)

 

 

渡良瀬 (新潮文庫)

渡良瀬 (新潮文庫)

 

でもまあふつう渡良瀬といったらこっちですかね。

渡良瀬橋

渡良瀬橋