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『ゼロ・グラビティ』感想(劇場公開時の感想です)

すっかり恒例となりましたが(?)、今夜の「金曜ロードショー」地上波初登場の映画を、僕が劇場公開時に見たときの感想です。以前のブログ記事に一部加筆修正しての再掲です。それにしてももう2年半前になるんですねー。僕も老けるはずだ。なお、ほとんど詳しいネタバレはしていませんが、後段に、若干内容に踏み込んでいる箇所がありますので、そういうの気になる人はテレビで映画を見てから読んでくださいね。ではどうぞ――「感想」の感想コメントなどいただけるとうれしいです。

 

『ゼロ・グラビティ』感想(ネタバレなし)


映画『ゼロ・グラビティ』予告5【HD】 2013年12月13日公開

『ゼロ・グラビティ』を見る。これ超面白いよー。90分という短い上映時間、地味で小っちゃな映画だといえばそうなんだけど、いままで見たこともないくらいスケールの大きな映画だといえばそうともいえる。なにしろ舞台はどこまで行っても闇また闇の広大な宇宙空間だもの。緊急事態でその宇宙空間に放り出された人間が果たして地球に戻ってこられるのか、というだけの非常にシンプルなストーリーだからね。

ただその臨場感たるやただごとではなく、主演のサンドラ・ブロックさんと宇宙船とを繋ぐ命綱はあっけなく切れちゃうし、無数の人工衛星の破片が恐ろしいスピードで襲ってくるし、宇宙服の中の酸素は刻一刻と減っていくし、その他にも数えられないくらいの不運が次から次へとサンドラ・ブロックさんの身の上に起こる。いったいどれだけあんたはツイてないんだよと、他人事ながら運命のいたずらを嘆きたくなった。

で、この映画のすごいところは、その本来他人事であるべき出来事が、そっくり全部自分のことのように感じるところだ。無重力だからくるくる目は回る。飛んでくる破片は体をかわしてよけなくちゃいけない。酸素なくなるから当然息苦しい。つまり映画鑑賞=アトラクション感覚なんですね。いやむしろ実体験といってもいいかもしれない。冗談じゃなくちびるよ。おまけに僕は高所恐怖症で閉所恐怖症だから、ほんと死ぬかと思った。

でっかいポップコーン抱えた男子中学生のグループが僕の隣に座っていたんだけどね、あいつらきっとポップコーンなんて一粒も食べてなかったと思うなあ。暢気にポップコーンなんか食べてる余裕なかったんじゃないかなあ。可笑しい。

なにしろちょっと油断してるとスクリーンの右上端っこに小さくあったものが、もう次の瞬間にはあっという間にど真ん中で大きくなって、また次の瞬間には今度は反対側の左下端に小さくなってそのまま消えていったり。そのスピードとか、上下左右自由自在に動く球体内部のような画面構成など、いったいカメラはどこにあってどういうふうに撮影してるのか不思議でしょうがなかった。

それプラス、「音」。地球のヒューストンと交信する音。途絶えがちでそれ自体がはかなさを演出する。宇宙空間の音(あるのか?)、BGMの音楽、そういう音もやはり自在に聴こえては消える。ひとつも聞き漏らすまいと僕は必死だった。

映画の原題は"GRAVITY"でこれにゼロをくっつけたのが日本公開タイトル、つまり「無重力」だ。タイトルを「重力」とするか「無重力」とするか、細かいところだけど、この映画の哲学を語る上でふたつは真反対じゃないかと僕は思った。映画の見た目を要約しているのは「無重力」ですね。それは間違いない。でも見終わって劇場の席を立つときは、原題の「重力」しかありえないと僕は思いました。理由を書くと映画のネタバレになってしまうのであまり詳しくは書けない。

この映画には胎児のイメージや赤ちゃんの泣き声など、そういうモチーフがちりばめられていて、そこからはっきり導き出されるのは、"reborn"「再生」とか「生まれ変わる」という重要なテーマだろう。そしていまのところ、まだ人類は無重力では長く生きられないことを強く意識せざるを得ないのだった。

野暮なこというけど、宇宙服を脱いだときのサンドラ・ブロックさん、とってもエロチックだったなあ。無造作なショートヘアもよかった。あの髪型だけで、役の上の彼女がどういう人生を生きているか裏付けてる気がした。そういう意味でも、サンドラ・ブロックさんの圧倒的な存在感あっての映画だったかもしれない。そこが映画体験とアトラクション体験を隔てるものだったかもね。

あとジョージ・クルーニーさん、おいしい役すぎて笑った。でも「ハリウッドの兄貴」にはピッタリなまさにハマり役だった。ただ深刻な事態が出来して恐怖におののくってだけではなく、ユーモアと生きる勇気と希望を与えてくれるのがジョージ・クルーニーさんだった。素晴らしい。

まったくもってすべてが素晴らしかった!

 

翌日の映画の余韻

きのうの映画の余韻でついつい何度も青空を見上げる。あの空のはるかかなたに、ジョージ・クルーニーさんがいるかもしれない(笑)。冗談はさておき、『ゼロ・グラビティ』のことをもう少し考えていたのだ。

――以下、映画の内容について少しだけ踏み込んでいます。

僕らを地球に繋ぎとめるものについて。例えば、家族でも、友人でも、仕事でも、家でも、故郷でも、財産でも、まあなんでもいいんだけど、自分をどこか一箇所に繋ぎとめる「重力」みたいなものっていうのは、ふだんはなんだか鬱陶しかったり煩わしかったりするただの重さでしかない。が、いざ失ったり失いそうになったら、死に物狂いで守ろうとしがみつき、命がけで取り戻そうとするだろう。

結局きのうの映画も、宇宙という場所と設定を借りているだけで、そしてその映像があまりに素晴らしすぎたのでうっかり見過ごしがちだけれども、僕らがふだん何気なく身にまとっている、つまりそういうもうひとつの「重力」についての話だったのではないかと思った。

そしてもしそれを一時的に見失ったりあるいは完全に失ってしまったとしても、もう一度一から作り出すことはできるし、そうすべきなのではないか、というふうなね。「再生」出来るんだという、明るい希望に満ちた物語だったのかもしれません。

だからこそ映画のタイトルは「無重力」ではなく、原題通り「重力」でなければならなかったのだと僕は思うのです。

 

映画のスピンオフ映像があった!

おまけに、You tubeで話題となった映画のスピンオフムービーを貼っておきます。これだけ見てもいったいなんのこっちゃ? な映像ですが、しっかり映画を見たあと、あらためてこのムービーを見ると、やばい、泣きそうだわ……。 


「Aningaaq」Spin-off drama of "Gravity" 

 

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