されど低糖質な日日

~Ⅱ型糖尿病患者のありふれた日常~

こころのよるべ~西郷隆盛とリア王とキャプテン谷口くんの話

西郷隆盛のウソのようなホントのような逸話

僕が歴史上の人物でもっとも敬愛する西郷隆盛の逸話です。ある日、朝早くごはんを済ませて西郷(隆盛)が出かけたあと、弟の従道が起きてきて朝ごはんを食べようとすると、みそ汁がだし汁だけで味噌が入っていなかったことがあった。従道はまかないのおばあさんにひとしきり文句をいい、「ところで兄(隆盛)はなにもいわなかったのかい?」と尋ねた。するとまかないのおばあさんは、「はい、だんな様は黙ってお替りまでしてお召し上がりになりました」と答えたというのだ。

この話を、うちの子どもたちにすると、子どもたちは(もちろんカミさんも)もう何十回となくおなじ話を聞かされているせいか、露骨に「またか」というイヤそうな顔をする。そればかりか、「西郷隆盛って鈍感なんじゃないの」などといいだす始末だ。いやいやいやいやいや、断じてそんなことはない! 西郷隆盛という人の、大らかでなにごとにも動じない度量の大きさ、器の大きさ、やさしさがこれほどにじみ出たスバラシイ逸話はないではないか。僕はこの話が大大大好きで、苦しいとき困ったときガマンできなくなったときハラが立ったとき誰かを怨みたくなったときにはいつも、「こころのよるべ」としているのです。

むろん、こういう話は、真実かまったくの創作か、あるいは似たような話にさまざまな尾ひれがついたものか、というあいまいさは否定できないんだけど、そんなこと僕にはまーったく関係ないのです。

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『アフリカの日々』を書いたイサク・ディネセンは、「私はいつも、リア王に対してどのように考えるかによって、人を分類することにしているの」といったそうで、事実『アフリカの日々』のなかにも、主人公の台詞としてそれは出てくる。おなじように僕は、その人が西郷隆盛に対してどういうふうに考え振る舞うかで、その人のことをいろいろと憶測し判断するようにしているのだ(生意気でスミマセン)。

 

キャプテンがみんなを引っ張っていく秘訣

「こころのよるべ」でいうと、もうひとつ、ちばあきおの『キャプテン』という中学生の野球漫画についても書いておきたい。といいながらも、あらすじは面倒なので割愛する。

キャプテン (漫画) - Wikipedia

この漫画を知らない人には唐突で、いったいなんのこっちゃでしょうが、僕がいちばん好きなのが以下の場面だ。

墨谷二中の野球部のキャプテンで主人公の谷口くんが、ライバルの強豪校に勝つためにものすごい特訓を部員たちに強い、とうとう不満が爆発した部員たちは、「キャプテンに抗議にいこうぜ」といきまいて、夜みんなで集まって谷口くんの家を訪れるのだ。すると出てきたお母さんが、「裏の神社へいってるわよ」というので、「神頼みか、気楽なもんだな」などと口々に文句をいいながら神社に行ってみると、境内で谷口くん、お父さんにノックをしてもらって、日中は部員たちの特訓の世話でままならない自分の練習を、部員たちよりもさらに過酷な条件で黙々とやっていた。

それを遠目に見てしまった部員たちは、キャプテンの谷口くんに声をかけることもできず、誰ともなく「おれ、家までランニングして帰ろう」といって走り去っていくという。2年生エースのイガラシくんが、「これなんだな、キャプテンがみんなを引っ張っていく秘訣は」とつぶやいて、彼もまたおなじように駈けて行くのだ。そういうエピソードがあるんです。

僕は、ひごろ努力とか根性という言葉がとても苦手なんですが、それでもこの『キャプテン』の一場面だけにはカーッと胸に熱いものがたぎるのを感じ、こころのどこか奥の引き出しに大切にしまい置いて、ときどき、ピンチのときなどにそっと取り出してはその場面をはんすうし、またがんばろうと思うのだ。

ま、この『キャプテン』の話も、子どもたちが小さいころから何回も何回もくりかえし、ふだんほとんど漫画を読まなくなった僕が、わざわざブックオフで本まで買い揃え読ませたから、いまでは子どもたちも僕がこの話をはじめると、西郷さんの話といっしょで「ほらまたはじまったよ」とニヤニヤうんざりしてますけどね。さてあなたには、どんなこころのよるべがありますか?  

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