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されど低糖質な日日

~Ⅱ型糖尿病患者である僕のありふれた毎日~

ノバク・ジョコビッチの「生まれ変わる食事」を読んだ

読書

大切なことはたったひとつだけ

この本のなかに書かれていることは読み物としてとっても面白いのは言うまでもないが、僕にとって大切なことはたったひとつだけだった。逆に言うと、そのたったひとつのことが再認識できただけで十分だった。

もったいぶらずに言ってしまうと、それは、

あなたの肉体は私の肉体とはまったく違う代物だ

 ということにつきる。

ジョコビッチさんは言う。そもそも「~しなければならない」という言葉自体がおかしいと。「私にとって最高の食事をあなたにとってもらいたいわけではない。ただ、あなたにとっての最高の食事が何かを知るための術を伝えたい(引用)」のだと。 

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わずか6才のときウィンブルドンで優勝することを心に誓った

現役プロテニスプレイヤーの最高峰ノバク・ジョコビッチさんは、わずか6才のとき、プロのテニスプレイヤーになることを、そしてウィンブルドンで優勝することを心に誓ったという。そもそも彼の生まれたセルビアでは、国内においてテニスの人気などまったくないに等しかった。

彼は、コソボ戦争により空襲が続いた故郷のベオグラードで、ときには避難用シェルターで数カ月も空襲をしのぎながら厳しい練習に耐えた。そんなジョコビッチさんが唯一耐えられなかったのが、(なんと!)小麦だった。小麦と乳製品に対して強い不耐性があり、トマトに対しても少し敏感だった。正確に言うと、小麦に含まれるグルテン。あらゆる小麦製品にグルテンは含まれる。

 

肝心なところで体が動かなくなる

よもやそんなことなど知る由もなかったジョコビッチさんは、試合中、突然呼吸ができなくなり体が思うように動かなくなる原因不明の病に悩まされていたのだ。そのため、せっかくいいところまでいっても、肝心なところで棄権をくりかえすプレイヤーだった。

いつのまにか世界ランキングは1位になってはいたが、誰の目にも、フェデラーとナダルには勝てない、第二集団でもがく存在に過ぎなかった。その当時から、世界最高の医師たちの指導を受け、肉体と精神を鍛えるあらゆるトレーニングを積んだにもかかわらずだ。

アレルギー、ぜんそく、単なる調整不足、メンタル面の問題などさまざまな要因が疑われたが、正確なことは誰にもわからなかった。

 

 人生を大きく変えた食事との出会い

そんな彼の前に、運命的な助言をする見知らぬ男が現れるのだが、そこからあとのことは、実際この本を手にとってご自分の目で確かめてください。僕が勝手にネタバレしても、じゃあ本読まなくてもいいやってことになってもつまらないから。でもこのあたりのところ、なにやら冒険小説風で面白いですよ。

ひとつヒントは、ジョコビッチさんの体には不耐性だったグルテンを、毎日の食事からまずは2週間だけやめてみる(グルテンフリー)、ということを試してみたそうだ。本書は、そのことから彼の体に起こったいわば奇跡をまとめた、ある種のドキュメントでもある。現在の彼の無敵な王者ぶりを見れば、そのことは明らかでしょう。

 

自分の体に合った正しい食事を見つける

人には自分の人生を大きく変えることができる、自分の体に合った正しい食事というがある、というのは僕もそのとおりな気がする。ジョコビッチさんは、体が求めるとおりに従っただけだ、とこともなげに言うが、だけどふつうはそんな食事を見つけることはなかなか容易ではない。

僕の場合は、糖尿病になり、その合併症である網膜症を患いあやうく視力を失いかけてはじめて、偶然、運命的な食事に出会った。それが糖質制限食だった。そんな経緯や日々の食事、生活がどんなだかを知ってももらいたくてこのブログをはじめたわけだが、ジョコビッチさんが言うように、僕もそれを誰かに強要するつもりはまったくない。

誰かが別の誰かに勧められて、「~しなければならない」などということは絶対ないのだ。グルテンフリーな食事が自分に合うとわかればそうすればいいし、糖質制限が自分の体や生活サイクルに合うと思えばそうすればいい。

 

その食事をはたして長く続けていけるだろうか

ただ、本書の中にも書かれていたが、たとえば戦時下では、食べられるものはパンだけで、どこの家庭でもいちばん安い油と砂糖と小麦粉を買ってパンを焼いて飢えをしのいだのだ。パン1キロあれば3~4日間は生き延びられたとジョコビッチさんも言っている。

同じことは震災や異常気象による避難生活でも言えることかもしれない。差し入れのおにぎりや菓子パンを食べなければ生き延びられないとなれば、僕だって糖質制限中でもなんでも否も応もなく、というかありがたくおにぎりや菓子パンを頬張る。

つまり、自分の体に合っているということはもちろんだが、その食事が毎日の生活を圧迫しないか、あるいは生活リズムにうまく溶け込んで長く続けられそうか、十分健康を維持していけそうか、近くに指導してくれる先生がいるか、など考えなければならないことは同時に多い。

まず自分の体に合った食事が何かを考える。探す。見つけたら試してみる。決して周りのみんながやってるから、ブームだから、どうやら簡単にダイエットできそうだから、と安易に飛びつくのではなく、自分の体のことを真剣に考えてほしいと思いますね。この本を読んで僕も自分に再度言い聞かせ、お節介にもますますそのことをだれかれとなく伝えたくなった。

 

もうちょっとネタバレ

あまり説教臭いことばかり言うのもアレだし、それにごめん、我慢できないからもうちょっとだけネタバレ。ジョコビッチさんの両親は皮肉なことにピザ屋さんなんですって! 彼は子どものころから練習で使い切ったエネルギーを補充する意味でも店のピザをつまみ食いし、「それにうちのピザは本当においしかった!」そうだよ。

あとね、魚は養殖でなく天然を選んでほしいとか、肉は牧草で草をあたえられた牛と平飼いの地鶏がいいとかも書かれていて、僕も一瞬、世界チャンピオンで大金持ちだからそういう食事ができるんじゃないか、とシラケたけれど、よく考えたらもちろん才能にも恵まれていたんだろうけど、そもそも空襲が続く中でも厳しい練習に耐えてきたからこそ、チャンピオンの座も大金も手に入れることができたんだよね。

そういう意味では、生まれ変わる食事、人生を変える食事というのは、まさにそのとおりだなあと思った。どっちが先とか後かという問題ではなく。食事だけの話に限らず、ジョコビッチさんの一日の過ごし方とか、朝の目覚めや睡眠について、ヨガや東洋医学やストレッチ・フィットネスについても具体的な情報を惜しげもなく共有してくれています。巻末には「王者のレシピ」もあります!   

ジョコビッチの生まれ変わる食事

ジョコビッチの生まれ変わる食事