ヒロシコ

 されど低糖質な日日

読書

『小さな習慣』を読んで~毎日ひとつから4つの “ ばかばかしいほど小さい ” 行動を自分に課す方法

結論はもったいぶらずいちばんはじめに書け、というライフハックもなにかしらそのての本で学習した言葉だっただろうか。 小さな習慣とは、毎日これだけはやると決めて必ず実行する、本当にちょっとしたポジティブな行動 です。“ 小さすぎて失敗すらできない …

庄野潤三の小説とオムライスの思い出

「かきまぜ」というのは、四国徳島の郷土料理でまぜずしのことだ。このかきまぜが、庄野潤三の小説には必ずといっていいほど登場する。庄野のお父さんお母さんが徳島の出身で、潤三と結婚した奥さんはお義母さんから作り方を教わり、以来、父母の命日やお盆…

話題のブックカフェ「梟書茶房」に行ってきた~池袋Esola(エソラ)4Fに誕生した都心の癒し空間

ようやく梟書茶房(ふくろうしょさぼう)に行ってきた。本とコーヒー好きにはたまらない話題のブックカフェ。オープンしたのは今年(2017年)の6月30日だから遅れることはや半年。その間SNS上で目にする評判に逸る気持ちばかりが膨らんでいた。場所は池袋Eso…

『たゆたえども沈まず』(原田マハ)を読んだ感想と『ゴッホ展 巡りゆく日本の夢』を見た感想

原田マハさんの『たゆたえども沈まず』を読んだ。世界一兄孝行な弟として有名なオランダ人テオドルス・ファン・ゴッホ(テオ)。彼と生涯の親友になった日本人青年・加納重吉。ふたりの異邦人の目を通して語られるパリは台頭するジャポニズムや印象派といっ…

『フロスト始末』(R・D・ウィングフィールド)を読んだネタバレ感想&フロスト警部シリーズを振り返って

「さようならフロスト警部。そしてありがとう」僕が小説の作者ではなくその主人公にこう語りかけたくなったことをR・D・ウィングフィールドさんが聞いたらはたして彼は草葉の陰でよろこんでくれるだろうか? フロスト始末 上 (創元推理文庫) 作者: R・D・…

『罪の声』(塩田武士)を読んだネタバレ感想~グリコ・森永事件の犯人たちの家族や遺族は実際いまどうしているのだろうかと思わずにいられない

「どくいり きけん たべたら しぬで かい人21面相」かつてこんな文面が連日テレビのニュース番組や新聞紙面に踊ったことがあった。「グリコ・森永事件」。大手食品会社を脅迫しては多額の金銭を奪い取ろうとした昭和史を揺るがす大事件だ。グリコの社長を誘…

小説『君の膵臓をたべたい』(住野よる)結末まで完全ネタバレ感想

住野よるさんの『君の膵臓をたべたい』(kindle版)を読んだ。最初に言い訳みたいな話を書きます。実はこれスマホのkindleアプリから1-Clickで買ったらしいのだ。らしいというのは僕にはそもそもこの本を買うつもりも買った記憶もまるでなかったから。なのに…

『ボクたちはみんな大人になれなかった』(燃え殻)を読んだ感想~キミは大丈夫だよ、十分大人だもん

燃え殻さんの『ボクたちはみんな大人になれなかった』を読む。秋の夜長でなくてもあっという間に読める。面白かった。主人公は専門学校を出てエクレア工場のアルバイトからテレビ業界の裏方へと転身した43歳のボクだ。ある日地下鉄の車内で昔つきあっていた…

『死ぬほど読書』(丹羽宇一郎)を読んだ感想~いい本だとおすすめできない理由があるので人にはおすすめしませんが

『死ぬほど読書』を読む。著者は丹羽宇一郎さん。伊藤忠商事の社長・会長など歴任されたあと中華人民共和国駐箚(ちゅうさつ)特命全権大使を務めた方。現在は早稲田大学特命教授。その丹羽さんによる「死ぬほど」の読書論。かと思って読むといささか肩透か…

『蜜蜂と遠雷』(恩田陸)を読んだネタバレ感想~はじめてのkindle本がこれで大正解だった

恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』を読んだ。タイトルにあるとおり僕にとって初めて読むkindle本。正確にいえばスマホのkindleアプリでは青空文庫の冒頭部分だけとか、恣意的に抜き取った部分をパラパラ飛ばし読みで、とかいうことは過去にもあった。が全編とおし…

『渡良瀬』(佐伯一麦)を読んだ感想~昭和のおわりから平成のはじめ「自粛の季節」の私小説

~佐伯一麦さんの『渡良瀬』を読んだ。東京で電気工をしていた主人公の南條拓。長女の緘黙症(特定の場面や条件で話せなくなる症状)と長男の川崎病そして自身のアスベスト禍による後遺症に悩まされつづけ妻の幸子はかつて拓が文芸誌の新人賞をとったことも…

『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』ネタバレ感想

『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』を読んだ。同シリーズは第1部『ドラゴン・タトゥーの女』第2部『火と戯れる女』そして第3部『眠れる女と狂卓の騎士』と順調に3部作が刊行されてきたがその時点で物語はまだ完結したとは言い難かった。ところが著者のスティ…

夏がくるとまた読み返したくなるとっておきのおすすめ本5選

7月になりまもなく梅雨があけるといよいよ本格的な夏がやってくる。暑い夏に適度に冷房の効いた部屋のソファに寝転がってアイスコーヒーなんかかたわらにして本を読む。そのままついついうたた寝してしまうこともあれば興がのって最後まで本を読み切ってしま…

僕が考える読書感想文の書き方~あらすじと自分語りについて

このようなブログを読んだ。 www.kinakoneko.com 読書感想文の書き方についての内容だった。ここに登場する先生のアドバイスはわかりやすく、なるほどそういうふうに書けば多くの人の共感を得られるのか、と感心した。ご本人は苦手であると謙遜するが、猫野…

『劇場』(又吉直樹)を読んで結末ネタバレありの感想書きました/でもこれ恋愛小説ちゃうねんで

又吉直樹さんの『劇場』を読んだ。発表当初から「恋愛小説」という触れ込みだったが、苦しくて苦しくて僕はどうしてもこれを恋愛小説としては読めず、いっそ途中で自分をその呪縛から解放してやると、あとは案外楽に読めるようになった。そうして最後の一行…

『火花』(又吉直樹)を読んだ感想(あらすじはないけど結末のネタバレあります)

『火花』を読んだ。芥川賞を受賞した、芸人・又吉直樹さんのデビュー作だ。話題になったのがもう2年も前だというのに、いまだ余韻がくすぶっていた。このたび文庫化され、さらに第2作『劇場』が発売されたことにより、燃えさしの火に再び大量の燃料が投下さ…

『騎士団長殺し』(村上春樹)を読んだ感想というほどではあらないないけれどそういうの(第2部 遷ろうメタファー編まで読んで)追記:『村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!』まで読んだ

これは僕が村上春樹さんの『騎士団長殺し』を読んで感じたことをただ好き勝手に書いただけのきわめて偏狭なものなので、あらすじなどを知りたい諸君はぜひ別のサイトを検索してみたまえ。なお決してネタバレを意図したものではあらないが、そういうふうに思…

村上春樹さんの『騎士団長殺し』(第1部 顕れるイデア編)を読んだ感想というほどでもないけどそういうの

はじめに:ネタバレというほどのネタバレはありませんし、まだ第1部の話なので第2部になって話がどう展開するのかもちろん僕自身も何も知らずに書いていることですから。 騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編 作者: 村上春樹 出版社/メーカー: 新潮社 発売日…

宮部みゆきさんの『ソロモンの偽証』を読んだ感想

今夜と来週の2週にわたり、宮部みゆきさん原作の『ソロモンの偽証』(前・後編)が金曜ロードショーで地上波初登場するらしいですね。残念ながら僕は映画版を見ていませんが、それは原作を読んだ直後の感動や興奮があまりにも大きすぎて、映画化には食指が動…

梅雨入りを前にして、暑い夏はこの北欧ミステリーを代表する3シリーズを読んで乗り切ろう!

沖縄地方はもう梅雨入りなのだとか。東京もこのところ毎日初夏の陽気で、衣替えを前にして僕は早くも半袖姿で暑さをしのいでいます。ただ本番のあのうだるような暑い暑い酷暑の日々がやってくるのはこれから、いまから既に十分気が重いですね。というわけで…

『フラニーとズーイ』に学ぶ糖質制限を継続する極意

人間が一人前になるために必要などれか3つのこと たしか高校生のころだったと思う。社会学者の加藤諦三さんの本をむさぼるように読んだ一時期があった。そのなかで、誰かエライ人の言葉だと紹介されていた気がするが(てきとー)、「人間が一人前になるには…

『糖質制限の真実』を読んで

栄養学の10年前の常識が今の非常識である こういう本を読んで僕が真っ先に思い浮かべることは、本の内容云々はともかく、栄養学に限らずどんな世界・学問にでも間違った常識が世間一般にあまねく伝播し、それをまた金科玉条のごとく崇める専門家によって実に…

カズオ・イシグロ『日の名残り』~人生の黄昏について考える

映画を見るため渋谷へ出たついでに、東急ハンズでかねてから欲しかったパン切りナイフを買う。文字どおりナイフを懐に忍ばせながら映画を見て、そのあとコーヒーショップに立ち寄り、映画を見たあと特有の少し昂った気持ちのほとぼりを冷ます。そこのコーヒ…

白いドトールとケア(介護)ローソン

なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか? 上阪徹さんの『なぜ気づいたらドトールを選んでしまうのか?』という本を読んだ。1杯100円のコンビニコーヒーの登場でも、結果的には、コンビニ内で売れていた飲料が影響を受けただけで、ドトールにはまったく影…

「食品表示の罠」を検証する

山中裕美さんの『食品表示の罠』を読んだ感想 山中裕美さんの『食品表示の罠』という本を読んだ。スーパーやコンビニで売られている食品に記載されている成分表をつぶさに見ていくと、その裏側に隠された本当の意味や問題点があることがわかってくるよ、とい…

ノバク・ジョコビッチの「生まれ変わる食事」を読んだ感想

大切なことはたったひとつだけ この本のなかに書かれていることは読み物としてとっても面白いのは言うまでもないが、僕にとって大切なことはたったひとつだけだった。逆に言うと、そのたったひとつのことが再認識できただけで十分だった。もったいぶらずに言…

佐藤正午『鳩の撃退法』(上)(下)を読んだ感想

佐藤正午さんの『鳩の撃退法』(上)(下)を読んだ。冒頭いっけんアットホームな滑り出しから行きつ戻りつするこのなんというか、バタバタとした、それでいてあとから振り返るときちんと計算されつくされている物語を、僕にしてはだけど、まさに一気に読み…

湯本香樹実さんの短編集『夜の木の下で』を読んだ感想

湯本香樹実さんの『夜の木の下で』を読んだ。短編集。短編集自体は僕はあまり得意でないが、どれも不思議な話や幻想的な話でわりと好きな世界だった。なかでもよかったのをいくつか。「緑の洞窟」は、幼いころ双子の病弱な弟を亡くした兄の悲しみが、庭に重…

北欧警察小説の傑作『猟犬』を読んだ感想

ヨルン・リーエル・ホルストさんの『猟犬』を読んだ。主人公はノルウェーの小さな町の警察署に勤務するベテラン警部ヴィスティング。ある日、彼の携帯が鳴り、娘のリーネから思わぬことを告げられる。リーネはタブロイド新聞の事件記者だ。その彼女が言うに…

イアン・マキューアンのスパイ小説『甘美なる作戦』を読んだネタバレ感想

イアン・マキューアンさんの『甘美なる作戦』を読む。舞台は70年代冷戦時代の英国。主人公セリーナは、縁あってMI5のスパイとなり、彼女にとっての初めての単独任務は有望な若手小説家トム・ヘイリーに接近すること。ところがセリーナは、自分の正体を隠し…